町田市学童保育クラブの会のあゆみ
法人が設立されるまで
委託連ができるまで
当法人が設立される前の学童保育クラブは、保護者を中心とした「運営委員会」が市と委託契約を結び、運営を行う方式でした。1983年、なかよしクラブ、たけの子クラブ、あおぞらクラブの運営委員会と指導員が交流のため「三者会」をつくりました。当時は委託料の水準も低く、学童保育クラブの建物探し、職員の雇用は全てこの運営委員会が担っていたため、運営の苦労は大変なものがありました。
その後、わんぱくクラブ、そよかぜクラブ、大蔵クラブが開設し仲間入りしたことで、1995年に「運営委員会委託学童保育クラブ連絡会」(略称:委託連)を発足しました。この時期に、 各クラブの施設長が集まって運営委員会の負担の軽減、財政問題の解決等を目的に法人化の必要性が話合われ、委託連でも本格的に法人化をめざす活動が始まりました。
年 | 沿革 | 学童保育クラブ |
---|---|---|
1979 | 4月5日 なかよしクラブ、共同保育で運営が始まる。 (正式名称:忠生学童保育所なかよしクラブ) |
|
1982 | 8月 なかよしクラブ、運営委員会委託方式へ移行する。 | |
1983 | なかよし、あおぞら、たけの子クラブの保護者と指導員で「三者会」をつくる。 | 2月 あおぞらクラブ開設(成瀬センター敷地内)(正式名称:成瀬学童保育クラブ) 4月 相原たけの子クラブ開設(共同保育) 7月 相原たけの子クラブ、共同保育から運営委員会委託方式へ移行 |
1984 | わんぱくが加わり、「四者会」となる。 | なかよしクラブ、忠生第一小学校に隣接した敷地へ移転 4月 わんぱくクラブ、共同保育で運営が始まる。 11月 わんぱくクラブ、同じ町内の借家に移転、運営委員会委託方式へ移行する。 |
1989 | わんぱくクラブ、小川4丁目の民家へ移転 | |
1993 | そよかぜが加わり、「五者会」となる | 2月 あおぞらクラブ、開設10周年記念行事を実施する 4月 そよかぜ学童保育クラブ開設 |
1995 | 大蔵が加わり、「町田市運営委員会委託学童保育クラブ連絡会」(略称:委託連)を発足させる。 11月 各クラブ施設長により、法人化にむけた話し合いが始まる。 |
大蔵学童保育クラブ開設 |
1996 | 5月 委託連にて、法人化に関する検討を始める。 | 相原たけの子クラブ、相原小学校内へ移転 わんぱくクラブ、小川小学校内へ移転 |
法人設立にむけて
法人化検討の中でまず初めに行ったのは、6つのクラブがあるといっても歴史も運営方法も様々であったため、子ども達のために私たちは何をめざすのか、その基本理念となるものを確立することでした。
約4年の歳月をかけ、1999年に提言「運営委員会委託学童保育クラブの新たな方向性をめざして」を作成しました。行政との協働なしには発展が望めないため、市にも提出しました。保護者も指導員も月に2回集まり、私たちの基本理念ともいえる提言づくりのために、熱く議論を交わしたものです。この提言が完成した後、法人のあるべき姿を具体化する作業を開始しました。
ちょうどその頃、1998年3月に「特定非営利活動(NPO)促進法」が公布されました。最も難しい課題であった法人設立申請の手続き・出資金等の確保が比較的簡単であったこともあり、NPO法人格を取得することを決定しました。
2000年より、保護者・指導員から代表を6名選び、法人設立のプロジェクトを発足しました。行政との折衝、設立申請のための書類作成、各クラブへの説明会の開催等、プロジェクトを中心に進めました。同時に引き続き各クラブ保護者・指導員でチームをつくり、組織運営のあり方、財政問題、職員の就業規則等の規定類の作成等の課題を2年かけて検討し、保護者と指導員がそれぞれの立場で思いをつなげ、確認をしていく作業を行いました。
2002年10月に設立準備総会を開催するにいたり、東京都へ申請を提出、2003年3月5日に法人が認証されました。
年 | 沿革 | 学童保育クラブ |
---|---|---|
1997 | ||
1998 | 「特定非営利活動促進法」が公布。 児童福祉法改正 「放課後児童健全育成事業」として学童保育が法制化される。 |
|
1999 | 5月 委託連の提言「運営委員会委託学童保育クラブの新たな方向性をめざして」が完成 市に提出する。 |
|
2000 | 委託連の中で、法人設立にむけたプロジェクトを発足させる。 | 4月 大蔵クラブ、小学校の空き教室利用から、敷地内へ単独施設が建設され、移転する。 10月 あおぞらクラブ、建替えのため成瀬センター内へ一時移転 |
2001 | 3月 あおぞらクラブ建替えが完了し、引っ越し作業 | |
2002 | 5月 法人設立準備会開催 10月 法人設立総会開催 各クラブ運営委員会、正式にNPO法人へ移行することを表明。 |
|
2003 | 2月 東京都よりNPO法人認証される。 3月5日 法人設立登記完了 4月 法人による運営が始まる。 |
2月 あおぞらクラブ、20周年記念行事実施。 |
設立の初めの頃
組織づくり
設立当初は、法人の事務局がなかったため、毎週のように日曜日等に理事会や総会の準備、職員の労務管理や給与計算といった事務作業を理事・職員で行っていましたが、大変な負担であり、事務局を確立しないと組織の運営が立ち行かなくなる状況でした。
2003年10月に事務局へ職員を異動し、ようやく会計をはじめとした日常業務を管理する体制をつくりました。同時に、法人化をめざし職員を中心に作成してきた「学童保育所保育指針(案)」を3年かけて法人の「保育理念文書」としてまとめる作業を進め、保護者の意見も取り入れた上で2006年度に完成させ、定期総会で発表しました。法人のめざす保育理念をまとめる作業は大変でしたが、理事・職員・保護者の方の思いを一つにまとめるきっかけになりました。
設立以前は、各クラブの運営方法には個別な事情があったためかなり差異があり、主任会を中心に業務標準化を進める作業に長い時間をかけることとなりました。
保護者会との交流
2004年からソフトボール大会を開催し、全クラブの保護者会が初めて交流し、好評の企画として毎年行われるようになりました。また、2004年度は、「町田市学童保育を考える会」と連携して実行委員会を発足し、学童保育を舞台にした映画「ランドセルゆれて」の上映会を町田市民ホールで行いました。
2005年には町田市民フォーラムにて「私たちが目指す学童保育とは」をテーマとしたシンポジウムを企画、2008年には「こどものえがお」をテーマとして講演会を行う等、保護者の方へ常に「学童保育のあり方」について問題提起を行ってきました。
年 | 沿革 | 学童保育クラブ |
---|---|---|
2003 | 3月 各クラブ運営委員会は解散し、法人へ移行することとなる。 4月 法人による学童保育クラブの運営が始まる。 4年生以上の高学年保育を継続する。 (なかよし、あおぞら、たけの子、わんぱく、そよかぜで受け入れ) 6月 第1回 法人定期総会を実施する。 10月 事務局体制確立(あおぞらクラブに事務員配置) 地方自治法の改正により、指定管理者制度が始まる。 |
4月 成瀬南学童保育クラブ、正式名称を「そよかぜ学童保育クラブ」へと変更する。 |
2004 | 7月 なかよしクラブ分室へ事務局を設置する。 どろん子学童保育クラブの指定管理者募集に応募し、指定を受ける。 10月 あおぞら・そよかぜクラブからのよびかけで、第1回 ソフトボール大会が南第二小学校の校庭で行われる。(大蔵クラブ優勝、参加者一同で、次年度以降も交流・親睦を約束する。) 11月 クラブ間研修を始める。 1月 法人設立1周年記念行事として、映画会「ランドセルゆれて」を市民ホールにて実施する。 |
2月 そよかぜクラブ、10周年記念行事を実施する。 4月 なかよしクラブ、忠生第一小学校内へ移転することが決定したが、児童数の増加のため 旧施設を分室として残すことを決定。 11月 わんぱくクラブ、20周年記念行事を実施する。 |
2005 | 第2回 ソフトボール大会実施(優勝:わんぱく) 法人設立3周年記念行事として、シンポジウム「私たちの目指す学童保育とは」を実施する。 市より、運営委員会委託方式の6クラブを指定管理者制度へ移行する方針が決定された。移行期にあたり「特命指定」となり、10月に申請書を提出する。 |
どろん子クラブ開設 |
2006 | 1月 国会議員団 わんぱくクラブへ視察に訪れる。(大規模クラブの見学) 4月 6クラブ、指定管理者制度へ移行する。 (相原たけの子、大蔵、そよかぜ、なかよし、あおぞら、わんぱく) 理事会にて、「保育理念文書」が承認される。 9月 法人設立3周年記念シンポジウム 開催 |
その後の事業展開
指定管理者制度への移行
2005年度より、町田市の学童保育は指定管理者制度の導入・移行が本格的になりました。当法人が運営する学童保育クラブも、2005年度にどろん子クラブの運営を受託、2006年度には設立当初より運営していた6クラブ全てが指定管理者制度へ移行しました。
指定管理者制度により、事業拡大が可能となりましたが、一方で指定期間に定めがある以上、当法人が継続して学童保育クラブを運営する保障がなくなりました。その一例として、2009年には相原たけの子クラブが子どもセンター「ぱお」の開館により移転をし、市の直営クラブとなったことで、当法人の運営ではなくなる経緯もありました。
その後、2007年度に金井クラブの運営を開始したのを始め、2008年度に鶴川クラブ、2009年度に高ヶ坂けやき・図師・つくし野、2010年度に大戸のびっ子、2013年度より南大谷の運営を受託しました。
子育て支援事業の展開
学童保育事業を中心としながらも、学童期以外の子育てにも視野を広げ、事業展開を行ってきました。その一つとして、2007年度より乳幼児と保護者を対象に、孤立した子育てをなくす交流の場、発達相談や専門機関への紹介窓口の役割を担うことを目的とした地域開放事業「ぷちくれよんひろば」を始めました。
また、指定管理者制度に移行する以前は、6年生までの高学年保育を行っているクラブがありましたが、制度の導入の際に中止をせざるを得なくなりました。それでも、学童保育を卒会した保護者より、「春休みや夏休み期間の長い一日を一人ですごさせることに不安がある」との声は多く、数年間かけて検討した結果、2011年度より春休み、夏休み期間に、高学年の居場所事業「くれよんキッズ」を始めました。
中期計画の作成
この10年の間に子どもと保護者をとりまく環境が大きく変化しました。その中で法人の事業展開を進め、クラブ・職員数も大幅に増えたこと等、様々な条件が変化しました。様々な変化に対応するため、組織のあり方を見直す必要性が出てきたことで、3年間を基本とした中期計画を作成することとしました。
年 | 沿革 | 学童保育クラブ |
---|---|---|
2007 | 第1回 町田学童保育指導員学校 開催。以後、毎年継続。(現名称:町田学童研究交流会) 鶴川学童保育クラブの指定管理者募集に応募し、指定を受ける。 子育て支援事業「ぷちくれよんひろば」を始める。 |
4月 大蔵クラブ、児童数増加のため分室の増築が行われる。 |
2008 | 子育て支援事業「ぷちくれよんひろば」 5か所で実施 9月 これまで運営していた5クラブ(大蔵、そよかぜ、なかよし、あおぞら、わんぱく)と、高ヶ坂けやき クラブ、図師クラブの指定管理者応募に対し、申請書を提出する。 10月 市より、つくし野クラブの指定管理者に対して応募がなかったため、当法人へ「特命指定」で運営を受託してほしいとの打診があった。理事会で決定し、申請書を提出する。 11月 法人設立5周年記念行事 開催 |
1月 金井学童保育クラブ開設。小学校敷地内の建築が遅れ、金井小学校内のランチルームを間借りする。4月に新施設が完成。 4月 鶴川学童保育クラブ、当法人が指定管理者として運営を始める。 どろん子クラブ、児童数増加のため、分室を増築する。 なかよしクラブ、30周年 |
2009 | 第1期 中期計画始まる。(2009~2011年度) 6月 大戸のびっ子クラブの指定管理者募集に対し、申請書を提出、9月議会で指定を受ける。 |
2月 相原たけの子クラブ、25周年記念行事を実施する。 4月 相原たけの子クラブ、子どもセンター「ぱお」に移転、これにともない、当法人の運営から公立 クラブへと移行する。 4月 高ヶ坂けやきクラブ、図師クラブ、つくし野クラブ 開設 11月 あおぞらクラブ、27周年記念行事 開催 鶴川クラブ、おまつりの日に40周年記念行事 開催 |
2010 | 9月議会にて、金井、鶴川、どろん子クラブの指定管理者の指定を受ける。 「ぷちくれよんひろば」 8か所で実施 |
4月 大戸のびっ子クラブ、当法人が指定管理者として運営を始める。大戸小学校(現ゆくのき学園)へ移転する。 |
2011 | 高学年の居場所事業「くれよんキッズ」を始める。 | 4月 あおぞらクラブ、成瀬中央小学校へ移転する。これにともない、名称が成瀬学童保育クラブから、「成瀬中央あおぞら学童保育クラブ」へと変更になる。 7月 大戸のびっ子クラブ、隣接する武蔵岡中学校(現ゆくのき学園)へ移転する。 大戸のびっ子クラブ、20周年 |
2012 | 第2期 中期計画始まる。(2012~14年度) 6月 南大谷学童保育クラブの指定管理者募集に対し申請書を提出し、9月議会で指定を受ける。 「ぷちくれよんひろば」 5か所にて実施 |
2月 そよかぜクラブ、南第二小学校プール横へ移転 そよかぜクラブ、20周年 あおぞらクラブ、30周年 |
2013 | 6月 法人設立10周年記念行事を実施する。 (佐々木正美氏による講演会およびスライドショー、記念誌発行) 9月議会にて、 8クラブの指定管理者の指定を受ける。 (大蔵、高ヶ坂けやき、図師、そよかぜ、つくし野、なかよし、成瀬中央あおぞら、わんぱく) 11月 事務局現在の中町へ移転。(登記申請 2014年1月) |
2月 あおぞらクラブ、30周年記念行事を実施する。 図師クラブ、児童数増加により、分室が増築される。 4月 南大谷学童保育クラブ、南大谷小学校内へ移転、当法人の運営が始まる。 そよかぜクラブ、20周年記念として「そよかぜまつり」にて写真展を開催する。 金井クラブ、5周年お祝い会開催 わんぱくクラブ、30周年 |
2014 | 4月 全クラブ正規職員3名体制化を実現 8クラブの指定管理期間が始まる。(5年) (大蔵、高ヶ坂けやき、図師、そよかぜ、つくし野、なかよし、成瀬中央あおぞら、わんぱく) 9月 のびっ子クラブの指定管理者の指定を受ける。 |
どろん子クラブ、10周年 大蔵クラブ、20周年 |
2015 | 9月 金井・鶴川・どろん子クラブの指定管理者の指定を受ける。 | どろん子クラブ、10周年記念誌発行 大蔵クラブ、20周年記念として「秋まつり」にてお祝い会。 |
保護者と共に
私たちは、以前の「運営委員会委託方式」の時代から、「子どもを真ん中に保護者と指導員が手をとりあって子どもの育ちを支える」を土台としています。運営形態が法人へと変わっても、その理念は引き継がれています。
子育ては時にはしんどいものですが、子どもの満面な笑顔を見ることができた時は、喜びも大きいものです。保護者同士のネットワークの中で子どももつながりを広げていきます。10年、法人は保護者のみなさんに支えられて運営を進めてきました。
これからも子どもたちのために手を携えて歩みたいと思います。
理念
- 私たちは、子どもたちが「自ら発達していく力」を信じて保育をします。
- 私たちは、子どもたちの「輝く瞳と笑顔の絶えない」保育をめざします。
- 私たちは、子どもたちが「仲間たちと地域の中で育つ」保育をめざします。
- 私たちは、子どもたちの「育ち」とともに、おとなが「育ち合う」ネットワークをめざします。
- 私たちは、子どもたちと親たちが「孤立した子育て」のなかで心痛めることのない地域のネットワークをめざします。